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季語に想う  その2

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 「竹の秋」、或いは「竹秋・ちくしゅう」という季語があります。
 (春)の部に、分類されています。


 早くは一月から、筍が、「春の使者」として、私たちに春の到来を予感させ、冷えていた心に、ふっと温かいものを与えてくれました。

 そして、今年も、何だかんだと言いながらも、筍が竹林をにぎわせてくれました。
 子を生み続けた親竹たちは、そろそろ役目を終える時期を迎えます。

 竹は、四月には入ると、葉の色を黄色に転じます。
 お出かけの際、竹林を見る機会がありましたら、どうぞ確認してみてください。



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 四月の終わりから五月にかけて、黄色い竹の葉が散り始めます。

 森の木々が、秋になると、枯葉を落とします。
 現在の、竹のさまが、森の秋を彷彿ほうふつとさせることから、「竹の秋」という言葉があります。

 また「竹秋」は、旧暦の三月の異名でもあります。


 折からの風に誘われて、竹の葉が、ひらひらと舞い降りてきます。
 小さく乾燥しているため、空中に留まる時間が長いのです。

 陽光を受け、輝きながら、葉の裏と表を変えながら、くるくると回りながら降りてきます。
 そこへ、さっと一陣の風が吹き上げます。
 竹の葉は、まるで蝶のように、フワリと、その身を高みにもどします。
 再び、緩やかに、舞い降り始め、時に右に折れながら、はっと左に曲がり、思いのままの軌跡を残しつつ、地上へ達します。

 そして、長い時間をかけて、静かに大地へもどっていきます。


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       山いくつその前や竹の秋     道山 草太郎

 
by yamagoya333 | 2009-05-04 08:54 | 山小屋日誌