2009年 05月 04日
季語に想う その2
「竹の秋」、或いは「竹秋・ちくしゅう」という季語があります。
(春)の部に、分類されています。
早くは一月から、筍が、「春の使者」として、私たちに春の到来を予感させ、冷えていた心に、ふっと温かいものを与えてくれました。
そして、今年も、何だかんだと言いながらも、筍が竹林を賑わせてくれました。
子を生み続けた親竹たちは、そろそろ役目を終える時期を迎えます。
竹は、四月には入ると、葉の色を黄色に転じます。
お出かけの際、竹林を見る機会がありましたら、どうぞ確認してみてください。
四月の終わりから五月にかけて、黄色い竹の葉が散り始めます。
森の木々が、秋になると、枯葉を落とします。
現在の、竹のさまが、森の秋を彷彿とさせることから、「竹の秋」という言葉があります。
また「竹秋」は、旧暦の三月の異名でもあります。
折からの風に誘われて、竹の葉が、ひらひらと舞い降りてきます。
小さく乾燥しているため、空中に留まる時間が長いのです。
陽光を受け、輝きながら、葉の裏と表を変えながら、くるくると回りながら降りてきます。
そこへ、さっと一陣の風が吹き上げます。
竹の葉は、まるで蝶のように、フワリと、その身を高みにもどします。
再び、緩やかに、舞い降り始め、時に右に折れながら、はっと左に曲がり、思いのままの軌跡を残しつつ、地上へ達します。
そして、長い時間をかけて、静かに大地へもどっていきます。
山いくつその前や竹の秋 道山 草太郎
by yamagoya333
| 2009-05-04 08:54
| 山小屋日誌