山小屋での生活を


by yamagoya333

蜩に関する 一考察

 本日の夕方であります。

 山小屋亭主は、森と野原の際で作業をしておりました。

 大木の下草を刈っておりました。
 草刈り鎌をさっと引いたとき、「かな・かな・かぁ~~なぁ??? うn? ・・・」
 目の前で、蜩(ひぐらし)が鳴こうとしたのであります。

 瞬間的に、鎌の柄を握り締めて、気配を潜めたのでありました。

 しばらくすると、「かな・かな か~~~~~ぁ あうn ・・・ いいのかなぁ?」と、くるではありませんか。

 山小屋亭主はこれまで、蜩が鳴いている場面を一度も見たことがないのであります。
 ないのでありますから、見てみたいと思うのは当然のことであると思っていただきたいのであります。

 最初に大木の右側から聞こえていた鳴き声が、裏を廻って左に移動し、例のとぼけた鳴き声が現れたのでありました。

 亭主は、堪えきれずに、体を左斜めに体を伸ばしたのであります。
 「ぎょっ !!」という低く鋭い音を残して、あやつは、姿をくらましたのあります。

 あっ、上記の表現は正しくなかったことをお詫びするのであります。
 「姿」と、かように申しましたのは、誤りであります。
 亭主は、蜩の姿を一度も見たことがないのでありましたぁっ。


 前回の記事にも書いたのでありますが、その後、雨が降り出したのであります。

 山小屋で雨宿りをしていますと、小屋の右斜めの森から「じぃ====っ じぃ==」とニイニイゼミとアブラゼミの混声コーラスが聞こえてくるのであります。

 外は雨が降っていましたが、直に降り止むと見切って合唱が始まったのでありましょうや。
 やんぬるかな、5分も経たぬうちに、ぱっと雨はおさまりました。


 ここで、物申したいのは、かの蜩の姑息こそくな行動のことであります。

 件の雨が降り止む「数秒」前に、左の森の中から「カナ・カナカナ ・・・カナ・カナ・・・」という乾いた泣き声が響いてきたたのであります。

 あたかも、この瞬間に雨が上がるのを予測していたのだとでもいうかごとく「したり顔」で一段とその鳴き声を張り上げるのを、苦々しい思いで、山小屋亭主は聞いていたのであります。


 <考察>
 臆病なくせに、小生意気な蝉だ !!


 <疑問>
 昔の人は、蜩を「絵」にしているが、どうやって蜩に近づいたのであろうか
 まさか、その死骸をスケッチしたわけではあるまい


 <結論>
 かような内容を記するのは、すべて蜩に対する憧れの裏返しなのであります。
 夏の夕暮れ時、森の際から聞こえてくる鳴き声に、一日(ひとひ)の穏やかな終わりを感じ、ほっとするのであります。
 一度この目で、人の心を癒してくれる麗しい姿を見てみたのであります。


       滝の上にひぐらしの鳴きかたまりし     田村 木国
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by yamagoya333 | 2011-07-26 22:49 | 山小屋日誌