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人知らずして ・・・

         人
         不
        レ
         知
         而
         不
        レ
         慍
          、
         不
        二
         亦
         君
         子
        一
         乎
          。

 
  「人知らずして慍(うらみ)ず、また君子ならずや」   (『論語・学而』より)

 * 自分のことを、人が認めてくれなくても、不平不満をいだかない人は、いかにも「君子」ですね。

 突然、漢文から出発しまして、失礼いたしました。


 本日は、福岡県糸島郡志摩町にある、「工房 ピアノギャラリー」というところに、お邪魔いたしました。

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 ピアノの調律師さんの工房です。
 http://www3.ocn.ne.jp/~ohshiro/
 プロのピアニストのコンサート用のピアノの調律を手がける実力派の調律師さんの工房です。

 筆者は、「修理」が出来る人に憧れます。
 すぐに道具を壊してしまいます。ここで、廃棄処分です。
 でも、修理が出来る人の手にかかれば、あれよ・あれよという間に、元通りになっていきます。
 感激します。自分では、決して元には戻らないと思うからです。

  この工房には、壊れて悲鳴をあげているピアノ、何十年も放置されて少々すねているピアノ、末期の水をと頼まれるピアノ・・・・いろんな事情があって、この工房に、ピアノが集まってきます。

 それらのピアノたちは、この工房で、見事に再生するのです。

 * PIANO ・ ピアノ ・ ぴあの ・ 西洋琴
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 * 師匠の手により、燭台のついたピアノに生まれ変わりました。
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 * 長い時を経て、今よみがえるピアノ
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 師匠曰く、

 私は、ピアニストのために、ピアノを調律します。
 ピアニストによっては、何時までに調律をしてください。(しろ!
 その時間になったら、調律の作業は完了していると、誤解している演奏家が多い。
 ピアノには「魂・たましい」が宿っている。
 私は、その魂と触れ合う、共感し合うまで、調整をします、したいのです。
 あるピアニストは言います、「これで充分じゃないの。これ以上、どうするの」
    (もうこれ以上、ピアノをいじらないでよ・・・
 それでも、やります。
 自分と、ピアノの魂が納得いくまでは。

 迷惑だと言われることもあります。
 「あっ、そう」と自分がした仕事を理解してくれない、演奏家もいます。
 いいじゃない、わかってもらえなくても!
 要は、自分です。



 筆者は、この話をうかがった途端、孔子の「論語」の一節を思い出しました。
 「人知らずして、慍(うらみ)ず、また君子ならずや」 
 人が理解してくれなくとも、自分の職責は果たすぞという、「気概・きがい」を感じました。
 筆者の魂が撼(ふる)えました。


 なんと謙虚で健気な態度でしょう。
 えてして、自分jはこんなことをした、こんなことも出来るぞと、自分をひけらかしがちです。
 「いいじゃないか、人が知らなくても・・・・」

 心にたくさんのお土産を詰めていただいて、帰途につきました。
 まこと、愉快な一日でございました。

 いつか続編を!!



       人の居る炭焼小屋を覗きけり      富安 風生



 * 本日は、自宅の下にある、造り酒屋の清酒「天心」を求めて参りました。
   今宵は、美味しい酒を心ゆくまで ・・・・
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by yamagoya333 | 2006-11-03 21:56 | 山小屋日誌