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Living Together  共生


 仕事先で、登り窯があるという話を聞きました。
 許可を得て、撮影させていただきました。

 三室からなる本格的な登り窯です。


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 窯の主は、薪の力に魅せられて、窯を築いたことでしょう。
 そして、この煙突からは、モクモクと煙が立ち昇っていたことでしょう。


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 葡萄畑や水田が広がる、のんびりとした風景の中に、この登り窯はあります。
 竹炭を焼く窯もこの近くにあります。

 ここの田圃では、草刈りや稲刈りのあとで、草や稲わらを焼く習慣があるそうです。
 一枚の田で、煙が揚がれば、それに応えるように、2本・3本と別の所から白煙が揚がります。

 登り窯からの灰色の煙、炭窯から上がる乳色の煙、田圃の白い煙とが、空を目指したことでしょう。

 その風景こそが、この地域の昔ながらの息づかいであり、ありようだったのではないかと思います。


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 しかし、この窯は、現在は放置されたままです。



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 宅地開発は、思ってもみなかった所にも及ぶようになってきました。
 例外なく、この地域も開発の手が入りました。

 新しく住宅を購入した方々が、移り住んできました。
 都市部から転入した方も多いと聞いています。
 地元の方々と新しい住民とは、生活習慣や意識が異なるということは、当然のことです。


 今まで住んでいた環境とは違うとのことで、登り窯から発する煙と煤煙にクレームがつきました。
 それを境に、登り窯は、放置されました。
 どちらの味方ではありませんが、移り住んだ者が、最初から100%の「権利」を主張するのも、どうかなと思います。
 地域に溶け込むという意識があってのことならば、話し合いの余地もあるとは思います。
  

 人が共に生きるということの中にこそ、トラブルは内包されているのだと思います。
 それらを解決してゆくのも、人の知恵に拠るものだと信じます。



       焼き芋やばったり風の落ちし月     久保田 万太郎
by yamagoya333 | 2007-09-01 10:02 | 山小屋日誌