2007年 09月 01日
Living Together 共生
仕事先で、登り窯があるという話を聞きました。
許可を得て、撮影させていただきました。
三室からなる本格的な登り窯です。
窯の主は、薪の力に魅せられて、窯を築いたことでしょう。
そして、この煙突からは、モクモクと煙が立ち昇っていたことでしょう。
葡萄畑や水田が広がる、のんびりとした風景の中に、この登り窯はあります。
竹炭を焼く窯もこの近くにあります。
ここの田圃では、草刈りや稲刈りのあとで、草や稲わらを焼く習慣があるそうです。
一枚の田で、煙が揚がれば、それに応えるように、2本・3本と別の所から白煙が揚がります。
登り窯からの灰色の煙、炭窯から上がる乳色の煙、田圃の白い煙とが、空を目指したことでしょう。
その風景こそが、この地域の昔ながらの息づかいであり、ありようだったのではないかと思います。
しかし、この窯は、現在は放置されたままです。
宅地開発は、思ってもみなかった所にも及ぶようになってきました。
例外なく、この地域も開発の手が入りました。
新しく住宅を購入した方々が、移り住んできました。
都市部から転入した方も多いと聞いています。
地元の方々と新しい住民とは、生活習慣や意識が異なるということは、当然のことです。
今まで住んでいた環境とは違うとのことで、登り窯から発する煙と煤煙にクレームがつきました。
それを境に、登り窯は、放置されました。
どちらの味方ではありませんが、移り住んだ者が、最初から100%の「権利」を主張するのも、どうかなと思います。
地域に溶け込むという意識があってのことならば、話し合いの余地もあるとは思います。
人が共に生きるということの中にこそ、トラブルは内包されているのだと思います。
それらを解決してゆくのも、人の知恵に拠るものだと信じます。
焼き芋やばったり風の落ちし月 久保田 万太郎
by yamagoya333
| 2007-09-01 10:02
| 山小屋日誌