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 若松の海岸には、いくつかの古い建物が、静かな時間の中でゆっくりと息をしています。
 若松が、その昔栄えていたという名残です。
 その中でも、「旧古河鉱業ビル」が落ち着いたたたずまいを見せています。
 通りに面した扉が開いて、喫茶の看板が中にあります。
 昨年の夏、ここを通りかかったときに、午後の陽射しの中で、「涼しそうだな」と思って、入ろうかなと思ったのですが、カメラを持参していなかったので、そのままでいました。

 海岸を歩きながら、そのことを思い出しました。
 立ち寄ってみると、正面の扉は閉じられていて、横手に回ってくれということでした。

 恐る恐る、中に入ってみると、事務所のようなところから一人の女性が小走りに出てきてくれました。
 コーヒーを飲みに来た旨を伝えると、2階でもこちら(事務所?)でもコーヒーをどうぞとのこと。
 行きがかり上、じゃぁここでということになりました。
 その女性が、手際よくコーヒーを入れてくれました。
 コーヒー茶碗も湯飲み風のしゃれたもので、コースターも四角い布が使ってあります。
 それが一杯150円。(写真を撮るのを忘れた)
 
 事務所風の部屋には、ちょっとしたテーブルセットがあり、コーヒーを楽しんでいると、先ほどの女性が奥のデスクに座り、それとなく話しかけてきました。

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 最初は、隣の古い建物(旧麻生鉱業ビル)の話でした。
 *麻生外務大臣の財閥系

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   どうも、その建物には買い手がついたようだ。

 建物は壊されてしまうらしい。
 できるならば、この建物を残して、ここと連動してギャラリーとして活用できないか。
 買収に必要なだけのお金が集まるといいいのだが。
 隣のビルの「丸窓」は、独特で素敵だ。
 中には、ここ(古河ビル)よりも気に入っているという人がいる。
 この二つのビルを描きにくる画家もいる。
 その方から、その作品を借り受けて展示している。(目の前にあった)
 ここを訪れてくれた人に、(隣のビルを)意識してほしい。
 自分ひとりでは、どうしようもない。
 でも、古いものを保存しようという気運がたかまってほしい。
 これは、あくまで独り言・つぶやきだ。
 でも、ここに来てくれた人には、語りたい。

と、簡潔にしかも情熱的に話してくれました。

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 さらに

 この建物は、北九州市が買い取り、有料で部屋を貸し出し、多目的に利用してもらうための施設なのだ。
 ここで結婚披露宴も催されたこともある。
 さらに、防音設備の部屋で、カラオケも楽しむことができる。
 2階には、厨房があり、創作的なパーティーもできるということ。 

 話題が、子供たちのことになりました。
 ボランティア活動で、子どもたちのお世話をしているとのこと。
 「お料理教室」を開いて、子どもたちの「舌」の訓練をしている。
 「食育」というものに非常に興味がある。

 そんなこんなが、終始「にこにこ」として語られるのです。
 素敵な方だと感じました。

 話の合間で、筆者の山小屋の話をしますと、興味を持たれたようで、子どもたちを連れて行ってもいいかという、オファーがきました。
 もちろん、いつでもどうぞということに。

 なんだか、自分の世界が少し広くなったようで、うきうきしてきました。
 これをきっかけにして、たくさんの子どもたちが「山小屋」へ、上がってきてくれるとうれしいです。

 4月9日(日)は、仲間が山小屋へあがってきます。
 この日に、あがって来ませんかと、お誘いしているところです。

「館内」

*長い窓 :掃除の業者が手を出せないほど長い
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*木の階段 :「こつこつ」という乾いた靴音がいい
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*フロア :ダンス教室が開かれていた
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       大いなる春日の翼垂れてあり     鈴木花蓑       
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by yamagoya333 | 2006-03-31 10:05 | 山小屋日誌

春の海辺


 昨日、市立若松図書館に行きました。
 別のブログに漢字検定1級の受験準備をされている方から、たくさんの質問をいただきました。
 筆者の能力では及ばない、或いは確かめなければ、お答えできないものがあり、図書館へ出向いたわけです。
 かなりの時間が必要だと思い、開館の時間を待って出かけました。
 すると、今月いっぱい休館の張り紙が、でぇーーんと。
 後でわかったことですが、形式は北九州市が統括しますが、実態は民間に移行するための引継ぎが行われているようです。

 2時間ほど空いてしまいました。
 それで、洞海湾に面した海岸を歩くことにしました。

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 若松側から皿倉山の様子です。
 このところ、中国から「黄砂」が飛んできていて、空がぼんやりと霞んでいます。
 皿倉山の左の稜線が切れた辺りに「さくら山小屋」があります。

*旧古河鉱業若松ビル
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*旧麻生鉱業ビル
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*石炭會舘
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 ここは本当に静かなところで、時折、航行する船の汽笛が「ぼぉー」っと辺りに響くくらいです。
 北九州市というあわただしい都市にありながら、この一帯は、時間の流れがゆっくりしているようです。

 写真は、いずれも明治・大正期の面影を残す建物です。
 若松は、石炭を中心にして繁栄した町です。
 エネルギー改革に合わせて、この海岸からにぎやかな音や人声が消えていきました。

 冷たい潮風に吹かれながら歩いていると、あることを思い出しました。
 旧古河鉱業ビルに喫茶室があったことです。
 これまで、この建物の前を通るたびに寄ってみたいなと思いつつ、そのままになっていました。

 海岸に面した扉から喫茶室に入るようになっていましたが、この日はそれが閉じられていて、横手に廻るようにとの張り紙がありました。

 おそるおそる、大きな扉を開けて中に入ると、左手の事務所のようなところから、感じのいい女性が出てきました。
 素敵な出会いの瞬間です。

 この続きは、次回ということで。


       大いなる春陰の海うねりつぐ     川島彷徨子


 *春陰(しゅんいん・春) 曇った春の天候をいう。
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by yamagoya333 | 2006-03-30 10:52 | 山小屋日誌

竹・たけ・バンブー

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 竹林にも春がやって来ました。
 午後の竹の小道です。
 やわらかな陽射しが静かにたまっています。


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 先週の竹林から作業現場が替わりました。
 切り倒したばかりの「青竹」を焼いています。
 竹のあちらこちらから水蒸気が噴出しています。
 竹の節が熱せられて圧力が上がっていきます。


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 どっかぁーーーん !!


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 竹の子がかわいらしい頭を出しました。
 土が割れているのが、おわかりですか。
 これは、実際に目で見えるので、皆さんにもわかりやすいと思います。


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 本日の収穫、あす「あじさいの湯」の売店に!

 夕暮れが近づいてきて、雑木林や竹林では、小鳥たちが「店じまい」を告げるために一段と声高にさえずりを繰り返します。
 「はい、はい、もう帰りますよ」と、返事をするともなしに家路についたことです。


        春の蚊のひとたび過ぎし眉の上     日野草城
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by yamagoya333 | 2006-03-26 22:16 | 山小屋日誌

教育って!? その1


 先週、娘が小学校を卒業した。
 式は滞りなく、静粛に行われた。
 卒業生が、式場から出て行くことになった。
 礼服を着たふくよかな男の先生が、左右の生徒と手をつないでいる。
その二人は、若竹学級の生徒だ。
 歩き出した。
 顔から溢れ出しそうな笑みをたたえている。
 何とも晴れやかな顔だ。
 胸を張っている。
 この二人の生徒を送る出すことに、あるいは自分の仕事に誇りを感じているように思う。

 わたしはこの先生と一度も接触がない。
 どんな方かもよく存じ上げてはいない。
 しかし、わかった。
 周りの人たちを、たちどころに幸せな気分にしてくれるこの「笑顔」からだ。
 きっと、慈愛に満ち溢れた授業や指導をされたのだと思う。

 のちに、家内に聞いてみると、その通りの先生だそうだ。
 情緒が安定しない生徒を預かり、いつも語りかけるように、笑顔で接しているそうだ。
 用があって、学校を訪れたときに、何度か顔を見かけたが、いつも笑顔だ。
 人と出遭った瞬間に笑顔を作るのではなく、廊下を歩いている間も、にこにことしている。
 先生が担当している子どもたちのみならず、すべての生徒にも笑顔が振りまかれていると思う。

 子どもの前で、しかめっ面ばかり見せているオヤジは、大いに反省したことだ。

  
        さゞなみの中に菜の花捨ててあり     高野富士子



「漢字牧場326」
更新しました。今回は「手談」です。さて、どんな意味でしょう?
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by yamagoya333 | 2006-03-24 11:56 | 山小屋日誌

肩が痛い

 
 
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今日は、朝から晩まで竹林の中で過ごしました。

 お日様はたまにしか顔を見せてくれませんでしたが、小鳥たちが歓迎してくれました。
 一日中、大きな声で美しい泣き声を聞かせてくれました。
 きつい作業でしたが、気分よく続行することができました。

 今日は、風があまりなかったので、竹林の中で不要な竹を燃やすことにしました。
 火の調子は抜群で、見る見る間に竹を処理してくれます。
 今日一日で、都合100本分は焼き尽くしたことになるでしょう。

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 そうした作業の途中で、竹の子さんが顔を出しているのに出くわします。
 しばし、作業を中断して、さくさくと掘り出します。
 本日は、これが目的ではないので、おまけ!!

 夕暮れが近づいてきて、竹林の中を見回すと、どこが変わったのかなと思うほど遅々とした進行状況です。

 しかし、今日一日何もしなければ「ゼロ」、何かやったから、プラス0・1は前に進んだと思いたいです。
 また明日も、頑張ろうと思います。

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        亀鳴くや独りとなれば意地も抜け     鈴木真砂女


 亀鳴く(春) 古歌に「亀啼く」とあるところから、季題(季語)に加えられているが、実際に亀は鳴くことはない。いわば、空想的季題ではあるが、いかにも春らしい趣がある。
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by yamagoya333 | 2006-03-19 23:46

濃い一日を

 お陰さまで、本日母が退院しました。
 医療的なことではなくて、病院の待遇に対して少々トラブルがあり、本日の帰還と相成りました。

 予定では、明日のはずでした。

 久しぶりの我が家に、気分もよさそうです。
 早速、「仕事」をすると、強がっていました。
 「はい、はい」」と、受け流して、様子を見ておりました。

 やおら、お茶を煎れて、ゆっくりと自分の時間を味わっていました。

 1時間ほど、付き合って、娘の学校へ。

 本日は、彼女の卒業式。
 時間がたつのは、本当に早いものです。
 つい最近、入学したような気分に陥ってしまいます。

 式を通じて、ほとんどのお母さんたちが目頭を押さえていました。
 やはり、子育てに関しては、母親が苦労してきたのだなと感じます。
 その、一日・一日が走馬灯のようにぐるぐると廻っているのでしょう。
 男だから泣かないのではなくて、苦労をしていない男だから泣けないのだろうと思います。

 今日から5連休!!
 昨日遅くから深夜にかけて、職場の後輩の様態が悪くなり、救急病院の手配を妹と行い、夜中の「仮入院」に付き合いました。
 今朝は、妹が飲み会で市庁舎まで、アッシー君。
 折り返して、娘を学校へ送り届け。
 返す刀で、家内を学校で降ろして、息子を駅までお見送り。
 その帰りに、病院へ寄って、母親の退院手続き。
 母を自宅に置いて、卒業式に。

 小学校の前にある、娘の通った保育園の園長先生主催の茶話会へ出席。
 帰宅して、母の食事。
 それから、家内の実家へ父親の看病に。
 家内が、世話をしている合間に、同僚の見舞いに。
 救急で診てもらった病院ではなくて、別の病院へ。
 彼は、来週の水曜日に手術の予定でした。
 本来入院すべき病院へ。

 やっと、人心地のついたところです。

 で、残りの4日は何をするかな?!!



        校塔に鳩多き日や卒業す     中村草田男
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by yamagoya333 | 2006-03-17 21:12 | 山小屋日誌

気丈夫

 母の入院も今日で一週間を超えた。
 血圧の高さが気にはなるが、経過は良好のようだ。

 昨日、見舞いに行くと、看護婦さんが別の科(整形外科)の外来診察へ行こうと、声をかけてくれた。

 母は、やおらベッドから起き上がり、ゆっくりとおりてきた。
 手術での傷口は縫合していないそうだ。
 それなのに、気になるほど体をよじっている。

 看護婦さんは車椅子にと誘うのだが、母はかたくなに乗ろうとはしない。
 手すりにつかまって、ゆっくり、のっそりと歩いてゆく。
 途中で立ち止まって、息を整えている。
 車椅子を勧めてみたが、無駄だった。
 3階から1階の診察室まで歩くことを宣言する。

 病院のベッドに1週間も寝ていると、足が萎えてくるそうだ。
 もともと、膝が痛くて歩行も難儀していた。
 看護婦の妹から、その話をとくとされていたようで、今回の行動となったようだ。

 気丈夫な母親らしさを感じた。
 元気なってくれると思う。

 亀の歩みにも似た母の歩行に、ゆっくりと付き添ってくださる看護婦さんには手間を取らせて申し訳ないし、感謝している。

 これから、見舞いにいくところ。


        大空や春の暁おほどかに     高浜虚子
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by yamagoya333 | 2006-03-14 12:42 | 山小屋日誌

錆びてゆく 寂びていく


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 工場の設備(プラント)です。
 仕事場へ向かう途中に、この姿があります。
 全体的に古くなって、現在は稼動していないようです。
 赤茶けた色が基調をなしています。
 
 現在の北九州市を象徴しているような光景です。

 古くなって見捨てられたようなたたずまいですね。
かつては、北九州工業地帯の繁栄を支えてきたと思われる設備です。
 やるせない様子で、朽ちていくのを持っているようにも見えます。
 そこはかとなく、隠せぬ威厳をも感じてしまいます。

 メカニカルな直線やメタリック色の曲線であふれた景観は近寄りがたいものがあります。
 しかし、この風景にどことなく懐かしさと人間的な温度を感じるのは私だけでしょうか。


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 こうして、体は錆びていき、街は寂びてゆくのは、仕方がないと思います。
 しかし、心は錆びないぞ、寂びてなるものか。
 いつも、楽しいことはないかと考える柔らかかな気持ち、この「矜持・きょうじ」だけは持ち続けていたいです。


        暖かや枯れ木の影が手を広ぐ     中村汀女     
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by yamagoya333 | 2006-03-11 23:00 | 山小屋日誌

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 昨日、母が手術を受けた。
 早ければ、1時間、だいたい一時間半で手術は終わると告げられていた。
 
 2時間がたった。
 まだ出てこない。
 いろいろなところへ思いが飛んでしまう。
 長い、1分が。

 手術室のドアの上に大きな丸い時計がかけてある。
 何度見たことだろう。
 何分、見つめていただろうか。

 この時計は、多くの人から期待と不安の思いを込めて見つめ続けられたことだろう。

 コチコチという音はさせねども、時に秒針が駆け出したり、あるいは亀の歩みのごとくに分針が進まなかったりと、人の気持ちを一喜一憂させる時計だ。

 女の人は、長い苦痛にも耐えられる。
 お産のときがそうだ。
 男は、どんなに痛くても、短時間なら耐えられる。
 また、ここまでと予告されていれば、何とかなる。
 女たちは、平気で四方山話に興じている。

 3時間が経過した。
 「説明室」へ家族は入って来いとのアナウンス!
 「終わった」

 市立病院の病棟婦長の妹・看護大学3回生の姪・家内の3人が入っていった。
 私は、残った。(というよりも、入れなかった。怖くて)
 すぐに扉が開いて、家内が私を呼び寄せるのではないかと、どきどきだった。
 そんな気配はない。
 うまくいったのかなと、思い始める。

 数分して、ぞろぞろと出てきた。
 みんな、ニコニコしている。
 おっ、もしかしてと、手術の成功を確信した。

 患部の腫れが予想以上だったので、時間がかかったとのこと。
 妹が、摘出された部分を見て癌ではないと確信したそうだ。
 プロが見たので、間違いはないだろう。


 一昨日、母親が入った部屋は、女性だけの病棟。
 部屋では、着替えや準備でおおわらわ。
 おっさんが、うろうるすると変だ!!
 デイルームという名の待合室で、一人ぼんやりと待つ。

 昨日の手術の後も、同じこと、待合室に待機。
 ぎりぎりの時間まで居ただけで、仕事へ。
 男って、こんなとき、何にもできない!!

 夜遅くまで、付き添っていてくれた妹も、泊まる必要性を感じずに(泊まる予約をしていた)帰宅したとのこと。

 現在のところ、ことは順調に動いているようだ。
 このままいけば、一週間で退院できるそうだ。
 そうなってほしい!!


       春めきてものの果てなる空の色     飯田蛇笏
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by yamagoya333 | 2006-03-10 01:24 | 山小屋日誌

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 昨日は、久しぶりに休暇をとって、竹林の整理をする予定でした。
 でも、ちょっとした手違いで、急遽仕事になってしまいました。
 連絡がきちんとなされていなかったからです。
 ちょっと、がっかりはきました。
 嫌いな仕事ではありませんから、それはそれで楽しみではありました。

 美しい夕焼けに出会いました。
 うっとりとするような茜色です。
 休みを取って、竹林の中では見ることができなかった光景です。

 ものごとは、いいように考えたいですね。

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        或日法廷に春の赤き日沈みけり     渡辺未灰
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by yamagoya333 | 2006-03-08 00:36 | 山小屋日誌