山小屋での生活を


by yamagoya333

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約束 (2)

 2013年、5月の意連休が来ました。

 5月3日、Mさんが意識不明のまま救急車で搬送されました。
 二日間も、玄関の扉があいているのに気付いた近くのおばちゃんが、発見しました。
 Mさんは、一人暮らしでした。

 5月1日の午後、隣で草刈機のエンジン音を聞きました。
 お見舞いにいくと、担当医師から、いつ倒れたのかを確かめるべく、私に質問がきました。
 どうも、意識あるMさんの一番新しい情報のようでした。
 であれば約二日間、倒れたままであったということになります。

 こんなことは、想像だにしていませんでした。
 これから、Mさんにいろいろなことを教えてもらおうと思っていたやさきのことでした。

 6月の中旬、Mさんの意識が奇跡的に回復しました。
 嬉しくて・うれしくてたまりませんでした。

 でも、右半身が不随になっていました。
 その時、Mさんに「ユンボの免許、私が取ります。展望台の整地やります。教えてください。」と申し入れました。

 Mさんは、ゆっくりと首を少し動かしました。

 私は、早速、講習会の申し込みをしました。
 日程は、お盆過ぎの2日間でした。
 その日が来るのを、子供のように楽しみにしていました。

 Mさんのリハビリは、順調に進んでいました。
 うまくいけば、右半身も・・・と、淡い期待をしていました。


 7月の終わり、Mさんが突然亡くなったという知らせが届きました。
 茫然自失とは、このことです。
 信じられませんでした。

 肺炎が原因だったそうです。
 意識を取り戻すために、随分体力を消耗したのでしょう。
 弱っていたところでしたから、肺炎には勝てなかったのでしょう。

 盆過ぎの講習会は、張りがありませんでした。
 取り敢えず、参加したようなものです。
 これを活かすことができるかなと少し、不安になりました。


       生きかはり死にかはりして打つ田かな     村上 鬼城




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by yamagoya333 | 2014-12-21 23:30 | 山小屋日誌

約束 (1)


 二年前、北九州市の助成を得て、新しい炭焼き小屋ができました。
 その詳細は、2012年11月からの記事をご覧ください。

 この建設工事には、多くの方が協力してくれました。

 私の山の隣を所有するMさんが、全面的な協力を申し出てくれました。


 炭小屋を作るにあたって、整地をしなくてはなりません。
 建設予定地は、大きな岩や石ばかりで、しかも斜面は急です。

 人力でかかると、膨大な時間を要するのはもちろん、大きな岩を動かせず、途中で断念することも危惧されました。

 その時に、Mさんが、「うちの畑をだしてやろうと」と言って、こつこつと丹精している畑を、幅2メートル・長さ30メートルを供出してくれました。
 また、山小屋へ至るために、道具小屋を一軒潰してくれました。

 これで、ユンボが入ってくる道が確保されました。

 そのうえ、ユンボを使っての道路工事・整地作業は、Mさんが一手に引き受けてくれました。

 皆さんのおかげで、2013年2月に、新炭焼き小屋が完成しました。

 その時、Mさんが、「今年の5月の連休過ぎ、タケノコの収穫が一段落したら、『展望台』(私たちがそう呼んでいる見晴らしのよいところ)を、ユンボで整地しよう。竹の根も全部引き抜こう」と提案してくれました。

 二人で、これからの土地造成について何度も話し合いました。


       小雪の日や詩心の空回り     中島 宏枝



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by yamagoya333 | 2014-12-21 22:57 | 山小屋日誌

ただいま

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 ただいま、戻りました。
 また、たどたどしく、あれこれと書き綴っていこうと思っています。
 よろしければ、これからもお付き合いください。




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 この秋、がりがりに痩せたウリ坊が、山小屋の周りに姿をみせるようになりました。
 私の姿を補足しても、逃げることなく餌さがしに専念しています。
 「ブー ぶぅ~」と音をたてながら、鼻で土を掘り起こしています。
 しかし、うまく餌にありつけた様子が、うかがえません。
 今年の冬を越すことが出来るのかなと、案じておりました。

 小屋のテーブルで食事をしていると、近くまでウリ坊がやってきます。
 彼と目線が合ってしまいました。
 何か投げてあげようかなと思いました。
 でも、思いとどまりました。
 彼が、自らの力で、餌を確保することが、厳しい冬を乗り切るための必須条件だからです。


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 小春日和の午後、温かい日差しを浴びながら、昼寝を決め込んでいます。
 私の目の前でのことです。
 写真を撮っても、気にする様子はうかがえません。

 こうして、和やかな時間が、山小屋に流れておりました。


 ある日、「ケン・けん」と、ウリ坊が咳をしています。
 2・3日、雨が続いたので、風邪を引いたのかなと思っておりました。
 
 その夜、炭焼き小屋の入り口、土嚢袋(どのうぶくろ)を2~30枚置いてあるところに、ウリ坊がいます。何やら、ごそごそとやっています。位置が決まったのでしょうか。ごろりと横になりました。その瞬間、眠ってしまいました。

 私は、そっとその場所を離れました。

 翌朝、その炭小屋へいってみると、昨夜とは位置を変えて、ウリ坊が眠っています。
 「おや、おや、可愛らしいこと」と思い、写真撮影をしました。

 その日は、用事があり、すぐに小屋を下りました。
 そして、昼過ぎ再び、上がってみると、彼は、まだ寝ていました。しかも、同じ場所、同じ姿勢でです。
 彼の閉じたままの瞼の上には、蠅がとまっています。
 「おかしいぞ」と思って、ウリ坊に触れてみました。

 体温はなく、呼吸も止まっていました。


 自然の中で、野生動物が生き抜いていくことは、難しいことだと実感しました。
 
 ウリ坊を手にしたときは、「こんなにも軽いのか」と思ったことでした。
 彼を、ソーセージとともに紙の箱の中に入れて、山の中に置いてきました。
 あとは、キツネやカラス、タヌキたちが始末をしてくれることでしょう。


 短い付き合いでしたが、彼の姿を見ると、心が穏やかになり、本日の作業を頑張ろうという気持ちになれました。

 これから、また一人ぼっちの作業になります。



       山の宿瓜坊の鼻人恋ふる     二田 紀子


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by yamagoya333 | 2014-12-10 01:32 | 山小屋日誌