2006年 08月 06日
割り切れない ?
今朝、母親を連れて香月(かつき)というところまで、紫蘇の葉や苗を分けてもらいに行ってきました。
河内貯水池を越えて、田代から畑貯水池におりて、国道200号線に合流するところです。
農場の主は、おばあさん。
花の苗を仕立てて、農事センターや農協へ出荷しています。
ご主人が亡くなって10年、一人で田圃や畑を守ってきました。
苗の仕立ては、根気の要る重労働です。そのせいか、腰が少し曲がっています。
それでも、元気な笑顔で(私たちを置いて)、田圃の草刈りへ出かけていきました。
母は、赤紫蘇を好きなだけ刈り取って、袋に詰めます。
手持ち無沙汰の筆者は、辺りをぶらり。
広い駐車場の中に小さな「草」が、炎暑の中でも元気に立っています。
コンクリートの継ぎ目のほんの小さなスペースに根を下ろしています。
たくましさと健気さを思いました。
与えられた環境の中で、精一杯、生きてゆこうとする姿はどうでしょう。
「はっ」と息を呑んでしまいます。
そのくせ、この「箒草・ほうきぐさ」は、「何でもないよ、このくらい」とでも言っているかのように、恬然(てんぜん)としています。
ホウキギ(箒木)
一般名:ホウキギ(箒木)
学名:Kochia scoparia
別名:コキア(Kochia)、ホウキグサ(箒草)
科属名:アカザ科ホウキギ属
原産地:南欧
草丈:30~70cm 観賞期:5~11月 葉色:緑~赤)(秋に紅葉)
説明:春や夏には、緑色をしていますが、秋になると紅葉する非耐寒性一年草です。果実はトンブリと言い、「畑のキャビア」とも謳われる秋田の名産品で、熟したら刈り取り脱穀して水洗し乾燥されて10月頃に出荷されます。トンブリそのものには味が無いので、醤油を垂らすなどして食べます。茎や枝が赤く色づいて枯れたものは箒となります。
季節は少しずれてしまいますが、こんな話を思い出しました。
***
春まだ浅い頃、若い母親が子どもを連れて散歩へ出かけた。
ビルが立ち並ぶ都会のアスファルトの隙間に、一輪のタンポポが咲いていた。
よちよち歩きの子どもが、それを認めて、小さな手で「春の使者」を摘み取った。
満面に笑みを浮かべて、母親のもとへ届けようと、パタパタと歩を進める。
突然、「まあ、かわいそう。たった一本しかないのに。毎朝、楽しみにしていたのに・・・」と、そばを通る女性のきつい声が。
母と子は、一瞬にして暗い思いに襲われる。
「申し訳のないことを子どもにさせてしまった。この道を通う人たちの楽しみを奪ってしまった。」
苦い思いが去来する。
だれも悪くはない。
みんな傷ついてしまった。
思わず、声に出してしまった女性も、冬の間にそのタンポポが生長し、花を咲かせるまでの過程をずっと見守ってきて、やっと咲いたタンポポを見るのが、毎日の楽しみであったろう。
***
「図らずも」「結果として」「悪気はなかったのだけれど」「不本意ながら」
人が人の中で暮らしていくのは、難しいですね。
帚木に影いとふものありにけり 高浜 虚子
帚木(ははきぎ)「夏」 ほううき草の別称。秋になり、落葉したあと、茎を干して「草ほうき」を作ることから、この名がある。
by yamagoya333
| 2006-08-06 10:50
| 山小屋日誌